水泳は全身運動で、かなりのエネルギーや栄養素を消費しています。練習中に失われる栄養素を補えないと、メインの練習でバテてしまいますし、試合中に失われた栄養素が補えていない状態だと、力を発揮できません。
練習中・試合中に失われる栄養素をしっかり補うことで、ベストに近くことができるので、どんな栄養素が失われるのかを知っておきましょう。
水泳で失われる栄養素① 糖質
糖質は身体を動かすエネルギー源となる栄養素です。車はガソリンがないと動かないのと同じで、身体は糖質がないと動きません。
脂質もエネルギー源として身体に蓄えられている栄養素ではあるのですが、脂質はゆっくりとしかエネルギーに変わりません。
特に試合中は激しく身体を動かします。そのために、エネルギーをたくさん作らないと行けないので、スピーディーにエネルギーに変わってくれないと困るのです。
糖質は脂質よりもかなり早くエネルギーに変わってくれる栄養素なので、激しい運動中はほとんど糖質からエネルギーが作られています。
マラソンでは「30kmの壁」という言葉があります。30kmを過ぎたポイントから急激に身体が重くなることからこのように言われているのですが、これは体内の糖質が空っぽになることで起こっているのです。
水泳でも、しっかりと糖質の補給を行うことで、後半粘って泳げるようになります。
特にレース中は、糖質は消化速度を考慮して摂取することが重要です。
レースは、「お腹の中は空っぽだけどしっかりエネルギーが蓄えられている状態」で臨めるのが良いです。
そのため、レース直前に消化に時間がかかるものを食べてもダメだし、逆に何も食べずにレースに臨んでも結果が出ません。
レース前の糖質の摂取方法をこちらの図にまとめました。
このように、レース1時間前からはドリンクやゼリータイプのものから糖質を補い、レース1〜2時間前はカステラやバナナなど比較的消化の良いものを食べ、レース2時間より前にはおにぎりやうどんなどのごはん系のものは食べ終えておきたいです。
水泳で失われる栄養素② ビタミンB群
糖質をエネルギーに変えるためには、ビタミンB群が必要です。
身体には、ミトコンドリアというエネルギー工場があります。この工場に糖質という材料が運ばれてきてエネルギーが作られるのですが、工場の中で働いている従業員がビタミンB群です。
ビタミンB群は運動を行うとどんどん身体から失われていくので、補給しないと工場で働いてくれる人がいなくなり、エネルギーを作れなくなってしまいます。
エネルギーを作れないということは身体が動かなくなるわけですから、後半も当然ペースが乱れてしまい、力が出せなくなってしまいます。
後半にしっかりタイムを伸ばせるように、ビタミンB群の補給もかなり大切です。
ビタミンB群はお肉やお魚に多く含まれています。しかし、運動中にお肉やお魚を食べるのって難しいですよね。
仮に食べられたとしても消化にかなり時間がかかるので、時差で体内にビタミンB群が吸収されるので、効果は発揮してくれません。
なのでビタミンB群は試合中に食事から補うのはかなり難しい栄養素です。
それではどうすればよいのでしょうか。その対策についてはこちらの記事で解説しているので、気になる方はご覧ください。
水泳で失われる栄養素③ ビタミンC
運動を行うと、活性酸素というものが作られてしまいます。活性酸素は筋肉を傷つけたり、DNAを破壊したりすると言われている物質です。そのため、疲労や後半タイムが落ちてしまう原因になります。
工場を動かすと煙がモクモクと出てきますが、活性酸素はそのようなイメージです。ミトコンドリアというエネルギー工場でエネルギーを作ると、煙のようにモクモクと活性酸素が作られるのです。
この活性酸素、疲労の原因にもなりますが、実は病気の原因の9割は活性酸素とも言われています。
アスリートはかなり激しく身体を動かしているので、活性酸素がかなり作られています。そのため、アスリートは寿命が短いと言われています。アスリートこそこの活性酸素の対策をしっかり行ってあげたいのです。
では体内ではどのように活性酸素の対策を行っているのでしょうか。活性酸素の除去に関わっている栄養素の1つがビタミンCです。
ビタミンCには抗酸化作用と言って、活性酸素を除去する働きがあります。そのため、後半の疲労を押さえるといったところにも繋がります。
ビタミンCはキウイに多く含まれています。そのため試合にキウイを持っていけると活性酸素の対策が行えます。
活性酸素は運動中の疲労の大きな原因なので、ここをしっかり対策できると後半しっかりタイムが伸びてくるので、まずはここの対策をきっちりやっていきましょう。
キウイ以外におすすめの活性酸素対策はこちらの記事でも紹介しています。
水泳で失われる栄養素④ マグネシウム
マグネシウムはミネラルの一種で、筋肉の弛緩に関わっています。マグネシウムは微量ですが汗から流れていってしまいます。
マグネシウムは運動でも失われてしまいますし、日本人が不足しやすい栄養素でもあるので、積極的に補いたい栄養素です。
マグネシウムが不足すると、足がつりやすくなります。逆に足をよくつるという人は、マグネシウムが不足している可能性が高いです。
マグネシウムの摂取で一番手軽なのは、お塩を変えることです。食卓塩はナトリウムのみしか含まれていませんが、岩塩などミネラル分も含まれているお塩に変えると、マグネシウムもしっかり補うことができます。
あとはお米を炊く時に、少しにがりを加えてたいてあげると、ごはんを食べながらマグネシウムの補給ができます。
水泳で失われる栄養素⑤ ナトリウム
ナトリウムは神経の伝達に関わっている栄養素です。ナトリウムは汗から流れていくので、しっかり補っておきたい栄養素です。
ナトリウムは脳から筋肉に「収縮しろ」という命令を届けるために必要な栄養素です。つまり、これが失われていくと、「収縮しろ」という命令が筋肉に届かなくなり、筋肉が思うように動かなくなります。
けいれんなどはナトリウムが失われることで起こってしまいます。
練習中の水分補給で水だけを飲んでいる選手を見かけますが、実はこれかなり危険です。神経伝達を正常に行うためにはナトリウムの濃度が大切なのですが、汗でナトリウムが失われていっている中水だけ補うと、ナトリウムの濃度は下がってしまいますよね。
なので、水分と一緒にナトリウムも補給してあげることがかなり大切です。
水泳で失われる栄養素を補給してベストを狙おう!
この記事では、水泳で失われる栄養素と、その栄養素の役割、補給方法について解説してきました。
水泳では、糖質、ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、ナトリウムといった栄養素が失われてしまいます。
運動中に失われる栄養素をしっかり補えることで、レース後半の持久力アップにも繋がり、ベストを出しやすくなります。
タイムを出すために栄養面でできることは、実はかなり多いです!特に後半の持久力が課題だという方は、こちらの記事も参考になるので読んでみてください。
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