アスリートも要注意?!リーキーガット症候群って何?対策や改善法を解説

分子栄養学

 

「なぜかいつも疲れてしまう」
「集中力が低下してしまった」
「薬を使っているのに蕁麻疹や肌荒れがひどい」

 

そんなことはないでしょうか。練習中にすぐに疲れたり集中力が低下してしまうと、普段の練習でしっかり力を出すことができず、当然本番の結果にも繋がってきません。

 

もしそのような状態で練習を続けているなら、少しでも早くその状態から脱しないと、せっかく練習をしても全て無駄になってしまいます。

 

練習するのにかなり時間をかけているのに、とてももったいないですね…。

 

練習ですぐに疲れてしまったり集中力が低下する原因の1つとして、「リーキーガット症候群」というものが挙げられます。これは、小腸の壁に穴が空いてしまっている状態です。

 

リーキーガット症候群とは一体どのようなものなのか、改善したりリーキーガット症候群にならないためにどうすればいいのかなどを解説していきます。

 

 

この記事を書いた人
中野 卓|スポーツ栄養サポーター

スポーツ栄養サポーター
東京大学総合文化研究科卒業
大学まで20年間競泳選手として活動。
現在はアスリートを中心に栄養サポートを行っている。

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リーキーガット症候群とは

 

まずはリーキーガット症候群とは一体どのようなものなのかについてお話していきます。

 

リーキーガット症候群とは、小腸の壁に穴が空いてしまった状態のことを言います。「リーキー(Leaky)」とは「漏れている」という形容詞で、「ガット(Gut)」は小腸を指します。日本語訳すると「腸漏れ症候群」と呼ばれていたりもします。

 

小腸は栄養素を吸収する器官として知られています。小腸では確かに栄養素を吸収しているのですが、もう1つ重要な役割を果たしています。それは、不要な栄養素を体内に吸収しないようにバリアを貼るという役割です。

 

食物に含まれている栄養素は大きな塊で存在しています。胃や小腸ではその塊を小さな粒にまで分解して体内に吸収します。そのため、小腸は細かな物質しか通ることができません。

 

しかし小腸に穴が開いてしまうと、消化されていない大きな物質だったり、ウィルスや細菌なんかも容易に体内に入り込めるようになってしまい、様々な症状を引き起こします。

 

 

こちらの図のように、小腸の壁に穴が空いてしまっているのが、リーキーガット症候群です。

 

リーキーガット症候群の症状

 

リーキーガット症候群ではどのような症状があるのでしょうか。リーキーガット症候群の症状は多岐に渡ります。

 

リーキーガット症候群の症状としては以下のようなものが挙げられます。

 

発熱、筋肉痛・関節痛、胸やけ、息切れ、吐き気、腹痛、抜け毛、肌荒れ、お腹の張り・消化不良、不眠症、記憶力低下、集中力低下、不安感、疲労感、下痢・便秘、口臭、神経過敏、食欲低下、ニキビ、じんましん、喘息、アトピー性皮膚炎、クローン病、過敏性腸症候群

 

リーキーガットが原因でこれだけたくさんの症状が出てしまいます。

 

リーキーガット症候群になったからといってこれら全ての症状が出るわけではありません。このうちの1つか2つくらいが出てくるということが多いです。

 

ずっと蕁麻疹がひどくて薬を塗っていたけど一向に治らずどうしたらいいかわからなかったけど、実はリーキーガット症候群が原因で、腸内環境を見直すと蕁麻疹が治ったというような話もよく耳にします。

 

一見小腸と蕁麻疹は無関係なように見えますが、小腸に穴が開いてしまい、アレルギーを誘発する物質が体内に入りやすい状態になっていることが原因で蕁麻疹を引き起こしているということがあります。

 

そうした場合、いくら薬を塗り続けてもそれはただの対処療法にすぎません。一時的に痒みなどが治っても、蕁麻疹を引き起こす物質が体内に入りやすい状態なので、そこを何とかしないと改善されません。

 

栄養状態を見直すということは、ただ症状を抑える対処療法ではなく、直接的な原因にアプローチして二度とその症状を引き起こさないようにする根本的な対策なのです。

 

リーキーガット症候群以外にも、栄養状態が悪いことにより体調が悪化していたり、気づかないうちにコンディションが悪くなっていっていることもあります。

 

栄養状態が悪いことで起こる病態や栄養との関連についても別の記事にまとめているので参考にしてみてください。

 

貧血の原因は鉄不足以外にもある!鉄分不足以外の貧血の原因を解説

 

リーキーガット症候群の原因

 

リーキーガット症候群は小腸の壁に穴が開いた状態で、そこから未消化の栄養素やウィルス、細菌などが体内に入り込んでしまうため、様々な症状を引き起こすことが特徴でした。

 

それではどうして小腸の壁に穴が開いてしまうのでしょうか。よく言われる原因としては、グルテンやカゼインが挙げられます。

 

「グルテンフリーダイエット」などでグルテンという名前を聞いたことがあるかもしれません。グルテンは小麦に含まれている、粘り気を出しているたんぱく質です。

 

グルテンを摂取すると、小腸の細胞は「グルテンが来た」ということを感知して、ゾヌリンというたんぱく質を分泌します。このゾヌリンに小腸の壁を壊す作用があるので、グルテンを過剰に摂取することで、リーキーガット症候群の原因になると言われています。

 

 

カゼインも小腸の壁を壊す働きをするので、同じ理由でリーキーガット症候群の原因となります。カゼインは牛乳の中に含まれているたんぱく質で、「カゼインプロテイン」などで名前を聞いたことがあるかもしれません。

 

また、カンジダ菌によってもリーキーガット症候群を引き起こしてしまいます。カンジダ菌は腸内にいる常在菌ではありますが、過剰に増殖すると小腸の粘膜を傷つけてしまいます。

 

その他にもカフェインやアルコールの過剰摂取過度なストレスなどがリーキーガット症候群の原因として挙げられます。

 

 

リーキーガット症候群の改善法

 

それではリーキーガット症候群になってしまった場合、どのようにして改善していけばいいのでしょうか。

 

リーキーガット症候群になってしまっていると、すでに小腸の壁に穴が空いている状態です。この壁を修復していかなければならないので、小腸の細胞の修復に必要な栄養素を意識的に摂取していくことになります。

 

まずはグルタミン。グルタミンは小腸上皮細胞のエネルギー源となるアミノ酸なので、積極的に補っていきましょう。粘膜の修復にはビタミンAや亜鉛などの栄養素も必要になるので、これらの栄養素も意識的に摂取していきます。

 

カンジダ菌が原因でリーキーガット症候群になってしまった場合、カンジダ菌を抑える必要もあります。カンジダ菌を抑えるには、カプリル酸(ココナッツオイルなどに多い)を摂取すると有効であることが知られています。

 

ただし、カンジダ菌が一度に大量に死滅すると、菌が保有していた有害金属が一度に体内に放出されてしまい、様々な症状を引き起こす可能性があります(ダイオフ症状)。そのため、肝臓や腎臓での解毒作用が十分に備わっているかを事前に確認しておく必要があります。

 

カンジダ菌はミネラルを取り込む習性があります。そのためカンジダ菌がいる状態で鉄分やマグネシウムなどのミネラルを摂取しても、全てカンジダ菌に取られてしまうので、カンジダ菌がいる場合、まずはカンジダ菌を体内から少なくしてあげる必要があります。

 

 

リーキーガット症候群を予防するためには…?

 

今特に症状がない方も、今の食生活を続けているとリーキーガット症候群になってしまう可能性もあります。それではリーキーガット症候群を予防するためには、食事面ではどのようなことに注意すればいいのでしょうか。

 

まずは、牛乳の飲み過ぎ、小麦製品の摂り過ぎをなくすことです。リーキーガット症候群は小麦のグルテン、牛乳のカゼインなどにより引き起こされてしまいます。

 

ただし過剰に避けすぎると食事の楽しさも半減しますし個人差もあるので、完全に避けるというよりは、飲んでも問題ない量を見つけてコントロールしてあげるとよいです。

 

また、砂糖を避けるという意識も必要です。カンジダ菌は砂糖を餌として増殖するので、甘いお菓子を好んで食べているということは、体内でカンジダ菌が育ちやすい環境を作っているということになります。

 

腸内細菌は小腸を餌にしているので、砂糖を避けていい腸内細菌の餌となる食物繊維を多く摂取するように意識できると良いです。

 

また、過剰なカフェインやアルコールもリーキーガット症候群の原因となるので、これらも少量に留めておくように意識すると良いです。

 

 

リーキーガット症候群は日頃の食生活が大切!

 

この記事では、リーキーガット症候群とは一体何なのか、その症状や原因、対策について解説してきました。

 

リーキーガット症候群は小腸の壁に穴が空き、未消化の栄養素やウィルス、細菌などが体内に入りこむ病態で、リーキーガット症候群の症状はかなり多岐にわたっています。

 

小麦のグルテンや牛乳のカゼイン、カンジダ菌、カフェイン、アルコール、ストレスなどが原因で小腸の壁が壊されると言われています。

 

普段の食事でこれらを避ける意識を持っておくと、リーキーガット症候群の予防にも繋がります。

 

その上でコンディションを整えてパフォーマンスを高めるための食事を意識できると、さらに周りのライバルとも差をつけることができます。リーキーガット症候群以外にも食事面でアプローチできることはたくさんあります。

 

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